あなたに愛されたい…青い空から舞う桜…
私は瞼をふせながら…はぁ…とため息を軽く吐き出す。話したく無い…どうしよう!

どうしよう…

その時考ちゃんのスマホがなった。

考ちゃんの顔が真顔になり、難しい言葉を言っている、医療の言葉だろう。

話を終わると私に何か言いかけたけど、急いで家を出ていった。

ほっとしたけど、何となく複雑。体中の力が抜けていく。考えたくないなぁ…

…私の存在が邪魔…碧さんから言われた一言…

結婚が踏み切れないのは私がいるから。

私が心配だから、昔から考ちゃんの口癖。

兄としてのなんでもない言葉。

頭も心もズキズキしてくる。考ちゃんの気持ちを独占している人。

考ちゃんに愛されている人。

私が知っている限り、碧さん以外の女性で考ちゃんの隣にいた人なんていない。

なのに私が邪魔なんて贅沢だよ。

だって私は妹なのよ!たとえ血が繋がっていなくても家族なのは変えられない。

私は妹以上にはなれないのに。

ここにはいられない、いたくない、でも考ちゃんの側に本当は… 

グラグラする体を必死に動かしアパートへ戻った。

冷たいベッドへ体を投げ出し、…もう嫌だ…と思いながら、変えられない私の気持ち。

何度も、何度も、何年もこの気持ちを抱えて生きてきた、はぁ…。

薄い壁のアパートでは声を張り上げて泣くことも出来ない。

布団を口にくわえ、ただ肩を震わせるしかなかった。


涙と一緒に記憶から消したい。


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