あなたに愛されたい…青い空から舞う桜…
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朝は必ずくる


いつの間にか泣きながら寝て、ずっと沈んだままの自分でいたかったけど、朝はくる。

目を開けたくない、それでも目を閉じたまま重い体をゆっくりと。

雨の音が聞こえる、窓の外は雨。

弱い雨が降っている。

今日は何がなんでも仕事に行かなきゃ、自分で立てた企画を放り出すなんて出来ないし、社会人としてもダメだから。

こんな気持ちどうしていいか分からないけど、頑張るしかない。

雨で桜の花びらが一枚、また一枚と落ちていく、なんか切ないな。

まるで私の心のカケラのよう。

スマホはずっとチカチカと光っている、ため息をつきながら時計はスマホしかないから、イヤでも画面を見てします。

あ………、やっぱりなぁ…。

窓に写った自分の顔は情けないひどい顔。


こんな顔の誤魔化し方なんて、またため息しか出ない。

もっときちんと化粧の仕方を勉強しておくべきだったなぁ…

スマホを小さなテーブルに置き、ゆっくりと立ち上がり台所へ、スマホが鳴る。

習慣とは怖い、思わず音に反応して出てしまった。


『 お母さん… 』


耳元で懐かしい声が聞こえてくる。久しぶりの優しく明るい声。

ほっとするような、なんだろう、心が少しだけ元気になってくる気分。

「 ……、 忙しいとは思うけど、お父さんが海外へ出張なの明日一緒に食事をしましょう。お願い、たまには顔をみせて。」

会えないといえば悲しむだろう…時間と場所を聞きスマホを切った。

なんでだろう、会いたくないと理由を探していたのに、実際声を聞いたら会いたくなってきた。

母の声は魔法みたい。

考ちゃんにも…





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