あなたに愛されたい…青い空から舞う桜…
病院から近い距離りに母の大好きは和食のお店がある。

私は子供の頃からこの店の、サクサクの天ぷらとトロットとろける茶碗蒸しが大好きだった。

建物は、純和風の作りの高級和食店。子供の頃は何も考えず私が一番にドアから元気には入ってたなぁ…

あ…懐かしい…

入口の前でなんか、今は若干勇気が必要な…

そんな私に従業員の方が気がつき、名前を伝え奥へと進む。中庭が見える個室に案内され、すでに両親がテーブル席に座っていた。

私に気がついた母は一番大好きな薄紫色の着物で優しい笑顔で迎えてくれた。

椅子は4席、でも食事の準備は三人だけ。

これって考ちゃんは欠席??ってこと?

急な連絡だっし、忙しい考ちゃんは無理かぁ…

どこかほっとしたような、でも心には寂しさもこみ上げてきた。


でもそんなことを顔を出すわけにはいかない。


両親は私が覚えているかぎり、昔から仲がいいようはラブラブなんだよね。


なんだかなぁ…やっぱりラブラブかよ!

楽しそうな会話をする二人、私は邪魔なような…

両親を見て育った私は、将来こんな夫婦になりたい…

それが夢でもあって、でも考ちゃんを好きだと自覚してからは夢でしかない。

たとえ考ちゃんを忘れることが出来ても、他の誰かを好きになるなんて無理だから。

二人にはずっとラブラブでいて欲しいなぁ…

あーー羨ましい!


頭の中はグルグルでも、一品ずつ運ばれてくる料理は絶品。ガッツリ食べて帰らないと、私の中に楽しむ余裕はあるみたい。

たぶん考ちゃんが不在だからかも。

大好きな茶碗蒸しが運ばれてきて、一口食べようと…


…えっ…!

いつの間にか、外の庭園にポツポツと雨が降ってきていた。
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