あなたに愛されたい…青い空から舞う桜…

花びらのゆくえ

札幌に来て半年まだ私は新藤のまま。

駅前のホテルで勤務、英語が出来るからと採用された。

ここ数年外国人観光客が急激に増加し、でも生きた英会話を話すのは本当に難しい。

毎日が勉強、この仕事もやっと慣れてきたと思う。

今日は19時より製薬会社主催の勉強会が華厳の間で予定されている。

その後は意見交換会。

出席される先生方は皆医者で、製薬会社からの招待になっている。

予定出席者は約50名ほど、当日にならないと人数は分からない。

医師会かぁ…

華厳の間の出入口で製薬会社の担当者が一人一人受付をし、席に着席した先生方にコーヒーを用意。

私は一階正面入口で先生方をお迎えし、案内をする。

入口前に黒塗りのタクシーがスッと到着し、それに気づいた担当者が急いて走って行く。

あー、勉強会に出席者の中で特別なお客様だろう、この仕事を初めてわかってきたこと。

担当者がペコペコしてる、私はいつも通りお迎えするだけ。

ドアがスッと左右に開き、懐かしい声を耳にする。

…嘘でしょう…考ちゃん…

全身が冷たくなり、気付かれる!

私は急いで正面のレストランへ飛び込んだ。

見られてないよね、まだ少し距離はあった。

あと少しで勤務終了時間だ、落ち着け、大丈夫!

きっと大丈夫!






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