あなたに愛されたい…青い空から舞う桜…
レストラン入口横にある観葉植物にかくれ目線を少し外に向ける、スーツをビシッと着こなし黒髪をサイドに流した考ちゃん。

やっぱり考ちゃんだ…

私の兄と感じが違う、医者の顔。

もう一人後ろに医者?だろう、なんだか纏う空気が違って見える。

担当者はエレベーター前で待機をして、数人で会場へむかった。

良かった…私のことは気付かれてない。

ほっと安堵の息を吐いた。

私は従業員用のエレベーターに乗り会場裏へ、会場内の証明が落とされ会議が予定通り始まった。

私の仕事はここまで、後は後半の意見交換会のホテル担当者に引き継いだ。

私は別棟にある、女性用ロッカールームへ行き、インカムを外し電源を切りうとした時、緊急連絡が入る。


…っえ!

ロビーから急患の連絡が…

私は急いで、ロビーへ向かった。


ロビーのソファで胸を抑える年配の女性、急いで救急車を要請、隣の友達?だろう泣きそうな顔をしている。

救急車10分で到着予定、女性のうめき声。

駄目だ、待って居られない!

私はヒールで螺旋階段を駆け上がり、会場入口で製薬会社担当者と会話をしている医者を見つけた。

息が上がる…

説明なんてしている時間も、もったいない、「助けて!」大声で叫んでいた。私は先生の腕を掴み螺旋階段をを降りていく。

先生はちょっと何なんだよ!と言っていたが 。

先生も直ぐに理解してくれたのだろう。

サイレンの音が近づいてきた。

私は駐車場へかけていく。


「新藤先生を、新藤先生を直ぐに呼んで下さい!」

男性医者の大きな声がロビーにこだまする。


お願い、お客様の命が助かりますよに。





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