あなたに愛されたい…青い空から舞う桜…
ボヤケた視界を何度かゆっくりと瞬きを繰り返す。

まだハッキリしないけど、孝ちゃん?の顔が目に入って来る。

頭も雲りそらのようでスッキリせず、何か言葉をと思っても乾いた喉に言葉が貼り付き出てこない。

私、どうしたの???

孝ちゃんの説明だと、私は肺炎をおこしかけたそうだ、坦々と、怒っているのか、表情を上手く掴めない。

私と連絡が取れずホテルスタッフと孝ちゃんがアパートで倒れている私を見つけ、最後は父親の経営する病院の救急車でここまで運ばれて来た。

情けないな……。

結局はここに戻ってきた…。

中々体力は回復せず、孝ちゃんも忙しいのだろう、あれから病室は一度も来てくれない。

ベットの上で答えも探せない。

溜息ばかり…。

私は何も変えられない。

「さつきから何度も何度も溜息ばかりだなぁ…」

白い布団から視線を上げて扉を見れば、白衣姿の孝ちゃんが腕を組み扉に寄りかかっている。

ゆっくりと私のベットに近づき、目線を下げる。

”かお、かおが、近い!“

熱が出そうなくらい,熱さを感じてくる。


「やっと会話が出来るな、どうだ少しは一人で寂しかったか??」

”なっ…”

何となく孝ちゃんの顔がイジワルだ。

“ 別に寂しくなんか…“

チョット退屈だったけどね。

「まぁ…薬もきちんと飲んでいたようだし、そこは褒めてやる」

薬が嫌いだったのは子供のころで!

私は軽く睨み返す。

孝ちゃんの左手がベットの端をギシと音をたてる。

さっきよりも距離が…

「顔が赤くなってきたぞ、熱測ってやろうか?」

”ちっっが “

声が言う事を聞いてくれない!

白衣のポケットからスッとわざとらしく体温計を取り出し、私の体温を確認しようとする。

抵抗なんてさせない、と…

「 離すものか 」





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