次は嘘がなくても、一緒に帰るから
傘を貸そうか?
桜の花びらが舞う季節。

しかも、春休み。

美しい景色に見惚れながら、のんびりと……とは、いかないようで。


「依田《よだ》は、ちゃんとボールを最後まで追うこと!」


「はい!」


今日も所属しているテニス部で、私は部活に励んでいた。

「疲れたー!」

部活の友達の明里《あかり》が、休憩中の私の隣に座った。

「お疲れ、三琴《みこと》」

「明里こそお疲れ!」

「あ、三琴。そういえば、今日サッカー部見たんだけど、青野いたわ」

「っ!?急に何!?青野くんはサッカー部だから、居て当たり前でしょ!」

青野くんは私の好きな人で、信頼出来る明里には話している。

「青野もいるって知ったら、元気出るかと思って。今日は話しかけなくていいの?」

「うん……勇気出ない。でも、これでも話せる時は頑張ってるんだよー!」

「ま、三琴のペースでいいもんね。でも、三琴は良い子だから、ちゃんと自信持つこと!」

明里が私の頭を撫でてくれる。

「明里は優しいなぁ。それに、うん。青野くんも部活頑張ってるんだ。よし!午後からも頑張りますか!」


そう意気込んだ瞬間……


ポツポツ、と嫌な音が聞こえ始める。
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