愛する婚約者を守るために頑張る公爵令嬢は、未来に絶望しない
私のナイフを持つ手は震えていた。


「リーシア、つまり君の予知夢は【防ぐことも出来るはずなんだ】」

「だから、リーシア。どうか未来に絶望しないで。未来を諦めないで」


その言葉で私は握っていたナイフを床に落とした。

カンッという金属の音が部屋に響き渡る。

ルイズ様が私の頬に伝う涙を手でそっと拭う。



「俺のことを恨んでくれればいい。それでも、ずっと愛しているよ、リーシア」



ルイズ様が優しく微笑む。



「ねぇ、リーシア。これが最後になるかもしれないから、口付けさせて」



涙が溢れ、私は返答出来ない。

ルイズ様は私の頬に手を当て、そっと私に口付けた。



「本当に愛しているよ、リーシア」



ルイズ様は最後にそう仰った後、立ち上がり、調査書類を持って執務室を出て行った。
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