【短編】ねぇ…キスして?
『ずっと慧の心には
前の彼女がいるって思ってた。
だから、私はセフレだって』
「そんな事思った事ねぇよ。
確かに真音に
出逢う前は引きずってたけど
真音に逢って……
初めて一目惚れってあるんだって思った。
それで、気づいたんだ…。
俺は裏切られた事を
引きずってただけで
そんなに前の女を
想ってなかったって事を…
真音が男といるの見た時
どうしようもないぐらい苛立った。
誰の目にもいれたくない
触れさせたくない
そこまで独り占めしたいって思ったのは
初めてだ」
『ん…
いつも連絡出来なかったのは
逢えないって言われるのが
怖かったから。
いつか飽きたって言われるのが
怖くて
平気なふりしてた。
でも…
…慧の事どんどん好きになって
自分ばっか好きで
苦しいってずっと思ってた』
「ごめんな…。
そんな想いさせて…。
俺も…ずっと俺だけが
真音を好きだって思ってた。
俺、好きな女じゃねぇと抱けないから…
これからも…真音だけだから…
俺と付き合って欲しい」
『……はい』
慧にギューっと強く抱きしめられる。
「もう俺以外の男と2人でいるの禁止」
『うん…
ねぇ…さっきの電話…』
気持ちが知れた今でも…不安なんだ。
「あぁ、会社の同僚。
どうしてもイヴの間に真音に逢いたくて
彼女がない奴に任せてきたから
責められてた」
『えっ…大丈夫なの?』
「いいんだよ。
イヴまで必死で働いたんだから」
――いいのかな?
でも、慧に抱きしめられて
伝わる鼓動が心地いい。