【短編】ねぇ…キスして?
いつも慧より先に着いて


慧を待たせた事ないのに―――。




こういう日に限って

慧は先に来てた。



慧の前には湯気が出ているコーヒー。




『ごめんね。

送れちゃって?』



「えっ?


あぁ…別に」




何かあったのかな?



どうしてそんなに不機嫌なの?



『何か…あった?』




「ん?

何もねぇよ~。

何か食うか?」



そうメニューを渡してくれる慧は

いつもの優しい慧で

私はそれを受け取り

慧の前の席に座った。



「真音の制服姿久々に見た。

やっぱ高校生なんだなぁ…。」



いつも年下に見られたくなくて


背伸びしている服装。



『着替えに帰る時間なくて…』



「すごく可愛い」



目を細める慧に


途端にドキドキする。




『そんな…事…ないよ』



可愛い、その一言だけで

こんなにドキドキする。



食事を済ませ


その後はいつも通り慧のマンション。




優しく抱きしめられ


慧の体温を



鼓動を



熱を感じる。



――でも


慧は決してキスをして来ない。




身体の関係を持って1ヶ月。


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