スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い

「なんだよ、朝からめかしこんで。出掛けるのか?」
「うん!行ってきまーす!」

 パンプスを履くと、誰と会うのか聞かれる前にそそくさと家を出る。
 信号待ちにの間にスマホを手に取り、『シューさん』へメッセージを送る。

(ええっと……『今から行きます』っと……)

 メッセージを送信してすぐ彼から『了解』と返事があり、思わず胸を躍らせる。
 結乃は昨日の会話を思い出していた。

『明日、お店は定休日だよね?』
『はい』
『少しでいいから外で会えないかな?一時間ぐらい……』
『大丈夫です!』
『じゃあ、駅前の噴水広場の前に十時集合ね』

 待ち合わせの時間と場所が決まると、ふたりは互いの連絡先を交換したのだった。

(落ち着くのよ、結乃!)

 男性とふたりきりで待ち合わせをしただけ。そこに特別な意味なんてないはず。
 そう何度も言い聞かせてみたはものの、自然と身支度には気合が入ってしまうし、手にはうっすら汗をかいている。
 待ち合わせ場所に到着し、ベンチに座る彼の姿が目に入ると胸のざわめきは大きくなる一方だった。

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