スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い
「結乃ちゃん、こっちだよ」
「柊登さん!」
片手を上げて結乃を呼んだ、彼の名前は御厨柊登という。
奇しくも結乃が心の中で呼んでいたあだ名通りの名前だった。
柊登は昨日のスウェット姿とは打って変わり、涼し気なリネン素材のジャケットとブルーのシャツを身に着けていた。
あまりの男ぶりに、とても直視できない。
ノエルに来る時とギャップがありすぎて、一体どちらが本当の柊登なのか、わからなくなりそう。
「お待たせしてすみません!」
「いや、俺が早く着きすぎたんだね」
柊登は結乃よりもなお早く、待ち合わせ場所に到着していた。
二人はたわいもない話をしながら、ベンチに腰を下ろした。
平日の午前中ということもあり、噴水広場には人も少なく散歩と思しき人たちが何人か通り過ぎるばかりだった。