スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い
「この大福は今度出店する店の試作品なんだ」
「試作品?」
「食べてみた感想を聞かせてもらえないかな?」
「そういうことなら遠慮なく……」
ノエルのケーキを食べてもらうはずだったのに、逆にフルーツ大福を食べさせてもらうとは、まるであべこべだ。
しかし、目の前のフルーツ大福の魅力には抗えない。
なにを隠そう結乃はケーキだけでなく和菓子も大好物なのだ。
紙皿の上に載せられたフルーツ大福は、嬉しいほどにずしりと重い。
結乃はフィルムを剥がすと、ガブリと大きく頬張り、そして目を見張った。
ひとくち食べただけでわかるこのジューシーさ。お高いメロンに違いない。
「美味しい?」
結乃は口に大福をいれたまま、何度もコクコクと頷いた。
その美味しさに感動し、幸せを何度も噛み締めてからゴクンと胃の中に流し込む。
「メロンの上品な甘みがさっぱりした白餡と相性が良いです!夏にぴったりです!いくらでも食べられそう!」
やや大げさだが正直に感想を伝えると、柊登はクスクスと笑い出した。
最初のひとつをあっという間に食べ終えると、二つ目へと手を伸ばす。
柊登は終始ニコニコと結乃が食べる姿を見守っていた。