スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い
「それにしても、ノエルのシュークリームは本当に美味しいよね。特にこのカスタードクリームがいい。コクがあって、まろやかだ。シュー生地の方もかなりこだわっているし、焼き方も絶妙としか言いようがない!一度パティシエだっていうお兄さんに話を聞きたいなあ……」
堰を切ったように溢れ出す賛辞に結乃はすっかり圧倒された。
柊登はキラキラと目を輝かせ、シュークリームを見つめていたが、あっと呟き我に返った。
「ごめん。仕事柄、つい……。俺、すっかりノエルのファンで」
柊登はやってしまったとばかりに、恥ずかしそうに額に手を当てた。
「ふふっ。あははっ!」
我慢しようと奮闘したが、結乃はとうとう吹き出してしまった。
シュークリームを食べながらいつもそんなことを考えていたのかと思うと、おかしくてしかたない。
「柊登さんは本当にスイーツが好きなんですね」
結乃よりもずっと年上なのにスイーツのことになると子供みたいだ。
笑われた柊登は照れくささを誤魔化すように、コーヒーごとゴクンと言葉を飲み込んだ。
その日以来、柊登は朝以外にもノエルに立ち寄るようになった。