スイーツ王子の溺愛はケーキよりもなお甘い
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(今日はいつ来るのかな?)
結乃は幾度となく壁掛け時計に目をやった。
昨日は開店してすぐ、一昨日はお昼過ぎ。しかし、今日は三時を過ぎても待ち人は姿を現さない。
閉店時間が近づくにつれ、結乃の心はソワソワと落ち着かなくなっていった。
柊登と話すようになり二週間。
一度『スイーツ王子』の存在を認識してから、柊登の話題を耳にするようになった。
テレビの中の柊登はいかにも余裕たっぷりで、誰の目から見ても完璧な青年実業家だった。
クールで非の打ちどころのない彼が、スイーツのことになると途端に目をキラキラさせて語り出すとは誰も知る由もない。
まさにスイーツ王子の名前に相応しい。
「こんにちは、結乃ちゃん」
「柊登さん!」
夕方を迎え、カウベルが鳴り、柊登がノエルにやって来ると、結乃の声は自然と弾んだ。
親しくなってからというもの、結乃は彼の来店を心待ちにしていた。
スーツ姿の柊登に手招きされ、カウンターから嬉々として飛び出していく。