このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「オレたちは夫婦だから何も問題はないだろう?」
「これから、お仕事の話をするのではないのですか?」
「オレの悩みを聞いてくれるのだろう?」
また甘えるような視線を向けてくる。四姉妹の長女として妹たちの面倒をみてきたイリヤとしては、こういった甘えられる仕草を見せられると弱い。
いつの間にかチャールズがやってきて、二人の目の前にお茶を並べていく。個装された一口サイズのお菓子も添えられた。
チャールズと目が合うと「ごゆっくり」と彼の目が言っている。
本当によくできた執事である。
「お菓子でも食べます? 甘い物は頭をすっきりとさせてくれますよ。これで閣下の悩みも、ずばっと解決できるかもしれません」
目の前にあるお菓子は、チョコレートを糖衣で包んだもの。チョコレートが溶けにくく個装もされていることから、贈り物として利用されることの多いお菓子である。
それを一つ手にして、くるんと包装を開ける。
「どうぞ」
指につまんでクライブに渡そうとすると、彼は口を開ける。
「え?」
「なんだ。食べさせてくれるわけではないのか?」
「ええ?」
「それをオレの口の中に入れればいいだけだろ? ほら」
まるでひな鳥のように、クライブが口を開けて待っている。
「これから、お仕事の話をするのではないのですか?」
「オレの悩みを聞いてくれるのだろう?」
また甘えるような視線を向けてくる。四姉妹の長女として妹たちの面倒をみてきたイリヤとしては、こういった甘えられる仕草を見せられると弱い。
いつの間にかチャールズがやってきて、二人の目の前にお茶を並べていく。個装された一口サイズのお菓子も添えられた。
チャールズと目が合うと「ごゆっくり」と彼の目が言っている。
本当によくできた執事である。
「お菓子でも食べます? 甘い物は頭をすっきりとさせてくれますよ。これで閣下の悩みも、ずばっと解決できるかもしれません」
目の前にあるお菓子は、チョコレートを糖衣で包んだもの。チョコレートが溶けにくく個装もされていることから、贈り物として利用されることの多いお菓子である。
それを一つ手にして、くるんと包装を開ける。
「どうぞ」
指につまんでクライブに渡そうとすると、彼は口を開ける。
「え?」
「なんだ。食べさせてくれるわけではないのか?」
「ええ?」
「それをオレの口の中に入れればいいだけだろ? ほら」
まるでひな鳥のように、クライブが口を開けて待っている。