このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
一人のローブ姿の男性が、部屋を出て行った。別室に控えている口うるさいと言われている人たちを連れてくるのだろう。
イリヤはぐるりと周囲を見回した。広い部屋ではない。こぢんまりとした部屋で、むしろ衣装部屋と同じくらいの広さかもしれない。
足元には複雑な魔方陣が描かれていた。その中心部に、マリアンヌを抱いたイリヤがいた。
もう一度、ぐるりと周りを見る。すると、クライブと目が合った。
「イリヤ?」
「クライブ様?」
そこに、先ほど出て行ったローブ姿の男が戻ってくる。彼は、後ろに複数の人を引き連れていた。彼らが口うるさいとクライブが言っていた人たちだろう。
「閣下。聖女様とお知り合いですか!」
そのタイミングで、神官服の男性――神官長が声を張り上げた。神官長もエーヴァルト側の人間である。むしろ、この召喚の儀を行った者たちすべて。
となれば、神官長は今、わざとらしい演技をしているのだ。
「あ、あぁ。妻、だ……」
クライブの言葉に噴き出したのはエーヴァルトである。そしてクライブが舞台俳優に向いていないということだけはわかった。
今の言葉は、非常に不自然な感じがした。
「クライブ。君は結婚した……のか?」
イリヤはぐるりと周囲を見回した。広い部屋ではない。こぢんまりとした部屋で、むしろ衣装部屋と同じくらいの広さかもしれない。
足元には複雑な魔方陣が描かれていた。その中心部に、マリアンヌを抱いたイリヤがいた。
もう一度、ぐるりと周りを見る。すると、クライブと目が合った。
「イリヤ?」
「クライブ様?」
そこに、先ほど出て行ったローブ姿の男が戻ってくる。彼は、後ろに複数の人を引き連れていた。彼らが口うるさいとクライブが言っていた人たちだろう。
「閣下。聖女様とお知り合いですか!」
そのタイミングで、神官服の男性――神官長が声を張り上げた。神官長もエーヴァルト側の人間である。むしろ、この召喚の儀を行った者たちすべて。
となれば、神官長は今、わざとらしい演技をしているのだ。
「あ、あぁ。妻、だ……」
クライブの言葉に噴き出したのはエーヴァルトである。そしてクライブが舞台俳優に向いていないということだけはわかった。
今の言葉は、非常に不自然な感じがした。
「クライブ。君は結婚した……のか?」