このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「ほぇ?」
思考が追いつかない。
「え? いや。ほら、私と閣下はすでに結婚しておりますから。今さら求婚とか言われても……」
「イリヤはこの結婚を契約だと思っているのだろう?」
「そうですね。私と閣下は雇用関係。そういうお話でしたよね?」
職業紹介所の求人を見て、王城に足を運んだのだ。そしてそのときクライブは、はっきりと雇用主と言った。
「最初はな。だが、今は違う」
「では、契約書の見直しをしましょう」
「見直し? そもそも、オレとイリヤの結婚は契約に含まれていない。あの契約書は、マリアンヌの母親としてマリアンヌを立派な淑女に育てあげること。そういった内容だ」
「え? この結婚は契約外だった……?」
「だから最初から言っていただろう? あれは婚姻届だったと」
イリヤはぱちぱちと目を瞬いた。
「いいか? イリヤ。オレは魔物討伐から戻ってきたら、求婚するからな」
なぜそれを今、彼が声を大にして言うのだろう。
だけど、イリヤの顔が熱いのだけは確かだった。先ほどから鼓動は高鳴っている。
イリヤはクライブにそう言われて嬉しいのだ、多分。そして、緊張もしている。
「閣下は、私が好きなのですか?」
思考が追いつかない。
「え? いや。ほら、私と閣下はすでに結婚しておりますから。今さら求婚とか言われても……」
「イリヤはこの結婚を契約だと思っているのだろう?」
「そうですね。私と閣下は雇用関係。そういうお話でしたよね?」
職業紹介所の求人を見て、王城に足を運んだのだ。そしてそのときクライブは、はっきりと雇用主と言った。
「最初はな。だが、今は違う」
「では、契約書の見直しをしましょう」
「見直し? そもそも、オレとイリヤの結婚は契約に含まれていない。あの契約書は、マリアンヌの母親としてマリアンヌを立派な淑女に育てあげること。そういった内容だ」
「え? この結婚は契約外だった……?」
「だから最初から言っていただろう? あれは婚姻届だったと」
イリヤはぱちぱちと目を瞬いた。
「いいか? イリヤ。オレは魔物討伐から戻ってきたら、求婚するからな」
なぜそれを今、彼が声を大にして言うのだろう。
だけど、イリヤの顔が熱いのだけは確かだった。先ほどから鼓動は高鳴っている。
イリヤはクライブにそう言われて嬉しいのだ、多分。そして、緊張もしている。
「閣下は、私が好きなのですか?」