このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「おはよう、マリー」
「ま、ま~」
「おはようございます、奥様」
「おはよう、ナナカ。今日はマリアンヌもうんと可愛くしてね」
ファクト家の使用人たちも、イリヤが聖女であったという話は知っている。
クライブが選んだ女性が実は聖女であったという話で、使用人一同、盛り上がったらしい。こっそりとサマンサが教えてくれた。
そうやって喜びを伝えられるたびに、イリヤの心は黒く染められていった。
だけど、先ほどのクライブがそれを取り払う。イリヤが偽物の聖女であるのは、国を守るため。これは必要な嘘。
そしてマリアンヌが成長し、彼女が聖女としてその責務を全うできるだけの力を身に付け、本人がそれを望んだときに、マリアンヌを聖女として発表すればいいのだ。
イリヤはそれまでのつなぎ。
「まんまんまんま~」
マリアンヌの母親になって、そろそろ半年が経とうとしている。まだ半年だけれど、マリアンヌからしたら彼女の人生の半分近くは、イリヤが母親として寄り添っているのだ。
「おはようございます」
「ぱ、ぱ、ぱ、ぱ~」
「おはよう。マリアンヌは今日もご機嫌だな」
眼鏡をかけていて、前髪をすっきりと後ろになでつけているクライブは、いつもと変わらない。
「ま、ま~」
「おはようございます、奥様」
「おはよう、ナナカ。今日はマリアンヌもうんと可愛くしてね」
ファクト家の使用人たちも、イリヤが聖女であったという話は知っている。
クライブが選んだ女性が実は聖女であったという話で、使用人一同、盛り上がったらしい。こっそりとサマンサが教えてくれた。
そうやって喜びを伝えられるたびに、イリヤの心は黒く染められていった。
だけど、先ほどのクライブがそれを取り払う。イリヤが偽物の聖女であるのは、国を守るため。これは必要な嘘。
そしてマリアンヌが成長し、彼女が聖女としてその責務を全うできるだけの力を身に付け、本人がそれを望んだときに、マリアンヌを聖女として発表すればいいのだ。
イリヤはそれまでのつなぎ。
「まんまんまんま~」
マリアンヌの母親になって、そろそろ半年が経とうとしている。まだ半年だけれど、マリアンヌからしたら彼女の人生の半分近くは、イリヤが母親として寄り添っているのだ。
「おはようございます」
「ぱ、ぱ、ぱ、ぱ~」
「おはよう。マリアンヌは今日もご機嫌だな」
眼鏡をかけていて、前髪をすっきりと後ろになでつけているクライブは、いつもと変わらない。