このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「あだ~あだ~」
「嫌がってないか?」
「喜んでいるんです!」
いや、これはマリアンヌが嫌がっている。食事を邪魔されて怒っているのだ。だけど、悔しいからクライブには、そう言っただけ。
マリアンヌもすっかりと朝食を食べ終えて、機嫌も戻ったところで着替えである。淡く薄いピンク色のドレスを気に入ったようで、「あ~あ~、あ~あ~」と楽しげに声を出している。
イリヤは装飾もほとんどない、真っ白なドレスを身につけた。袖のレースには細かく花模様が描かれていて、光を受けると微妙な角度で虹色のように輝く。派手ではない華やかさがある。
「イリヤ、準備はできたか?」
いきなりクライブが扉を開けて部屋に入ってきた。
「旦那様。せめてノックをしてからお入りください」
サマンサに咎められようが、クライブは気にしていない様子。
「イリヤ……」
何か言いたそうにこちらを見つめているものの、口元を手で押さえ、その肝心の言葉が出てこない。
「なんですか? 言いたいことがあるなら、はっきり言ってください。気持ち悪いじゃないですか」
「あだだだだだだだ~」
マリアンヌが声をあげると、クライブも我に返ったように目を瞬く。
「あ、あぁ。マリアンヌ、かわいい服を着ているな」
「嫌がってないか?」
「喜んでいるんです!」
いや、これはマリアンヌが嫌がっている。食事を邪魔されて怒っているのだ。だけど、悔しいからクライブには、そう言っただけ。
マリアンヌもすっかりと朝食を食べ終えて、機嫌も戻ったところで着替えである。淡く薄いピンク色のドレスを気に入ったようで、「あ~あ~、あ~あ~」と楽しげに声を出している。
イリヤは装飾もほとんどない、真っ白なドレスを身につけた。袖のレースには細かく花模様が描かれていて、光を受けると微妙な角度で虹色のように輝く。派手ではない華やかさがある。
「イリヤ、準備はできたか?」
いきなりクライブが扉を開けて部屋に入ってきた。
「旦那様。せめてノックをしてからお入りください」
サマンサに咎められようが、クライブは気にしていない様子。
「イリヤ……」
何か言いたそうにこちらを見つめているものの、口元を手で押さえ、その肝心の言葉が出てこない。
「なんですか? 言いたいことがあるなら、はっきり言ってください。気持ち悪いじゃないですか」
「あだだだだだだだ~」
マリアンヌが声をあげると、クライブも我に返ったように目を瞬く。
「あ、あぁ。マリアンヌ、かわいい服を着ているな」