このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「そうですけど……」
「別に雇わないとは言っていない。お前も聖女様も、これから慣れない場所で暮らすんだ。そこに見知らぬ人間がたくさんいたら、聖女様が……また、あ~、ほら。まぁ、そういうことだ」
クライブはマリアンヌが不安定になるような要素を、極力減らしたいのだろう。
「クライブ。マリアンヌはすでにお前の娘なのだから、いつまでも聖女様と呼ぶのはいかがなものか。これからマリアンヌと呼びなさい。なぁ? イリヤ嬢」
「あ、はい」
エーヴァルトのその言葉は、きっとイリヤにも向けられているのだろう。聖女マリアンヌはイリヤの娘。
「では、この書類を頼む」
婚姻の書類にクライブとイリヤがサインをした。証人者は国王である。
「よし、これでクライブとイリヤ嬢の結婚は成立した。そしておめでとう。聖女マリアンヌは君たちの娘だ」
いつの間にか目を覚ましていたのか、マリアンヌは「きゃ、きゃ」と声をあげている。アルベルトが近くにいるからか、機嫌はよいようだ。
「あの……マリアンヌ……を抱いても?」
書類上はイリヤの娘となった。
「もちろん、問題はない。だが、まぁ、イリヤ嬢なら心配はないだろう」
寝台の上で手足をバタバタ動かしていたマリアンヌを、イリヤは抱き上げた。ずっしりとした命の重みを感じる。
「こんにちは、マリアンヌ。今日から私がママよ」
「……あぶっ」
「マリアンヌが喜んでいる……奇跡だ……」
「別に雇わないとは言っていない。お前も聖女様も、これから慣れない場所で暮らすんだ。そこに見知らぬ人間がたくさんいたら、聖女様が……また、あ~、ほら。まぁ、そういうことだ」
クライブはマリアンヌが不安定になるような要素を、極力減らしたいのだろう。
「クライブ。マリアンヌはすでにお前の娘なのだから、いつまでも聖女様と呼ぶのはいかがなものか。これからマリアンヌと呼びなさい。なぁ? イリヤ嬢」
「あ、はい」
エーヴァルトのその言葉は、きっとイリヤにも向けられているのだろう。聖女マリアンヌはイリヤの娘。
「では、この書類を頼む」
婚姻の書類にクライブとイリヤがサインをした。証人者は国王である。
「よし、これでクライブとイリヤ嬢の結婚は成立した。そしておめでとう。聖女マリアンヌは君たちの娘だ」
いつの間にか目を覚ましていたのか、マリアンヌは「きゃ、きゃ」と声をあげている。アルベルトが近くにいるからか、機嫌はよいようだ。
「あの……マリアンヌ……を抱いても?」
書類上はイリヤの娘となった。
「もちろん、問題はない。だが、まぁ、イリヤ嬢なら心配はないだろう」
寝台の上で手足をバタバタ動かしていたマリアンヌを、イリヤは抱き上げた。ずっしりとした命の重みを感じる。
「こんにちは、マリアンヌ。今日から私がママよ」
「……あぶっ」
「マリアンヌが喜んでいる……奇跡だ……」