このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
 彼の正面に立って眼鏡をかける。
「だぁ?」
 イリヤの存在に気づいたのか、マリアンヌはかわいらしい声をあげた。
「はいはい、マリー。もうちょっとでおうちに着きますからね」
 クライブからマリアンヌを預かり、しっかりと抱きしめる。
「現金なやつだな」
 眼鏡を押し上げながら、クライブが言った。
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