このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
エーヴァルト一人にしておいたら妄想に耽ってしまい、今日中に目を通してもらいたい書類すら、山になるだけ。
「それで、最近のマリーはどうなんだ?」
毎日、聞いてくる。クライブからしたら、昨日と今日でマリアンヌの大きな変化があったとは思えない。おすわりがしっかりしているし、ずりばいしながら部屋中を動き回っている。成長したなとは思うのだが、毎日、見ているためか昨日と今日の小さな変化には気づきにくいのだ。
だが、昨日はできなかった拍手ができるようになったとか、昨日は食べなかった果物を食べたとか、そういったことであればわかる。
「相変わらず、ずりばいしながら部屋を動いてますね。何か見つけると、口に入れようとするから、目が離せないようです」
「あぁ。私もずっと目を離したくない」
そうやってうっとりするエーヴァルトを見ると、何度も「お前の子ではないだろ!」と声を荒らげたくなるというもの。
「クライブ、君は毎日マリーと一緒に風呂に入ってるのか?」
「ああ、そうですね。イリヤに言われて一緒に風呂に入るようになりましたが、悪くはないですね」
マリアンヌを抱きながら広いバスタブに入ると、彼女は喜んで手足をバタバタとさせる。頭や身体を洗っても、泣くようなことはない。ほかほかとマリアンヌがあたたまったところでイリヤを呼ぶと、彼女は顔を背けながらマリアンヌを預かってバスタオルでくるむ。そのときのイリヤの表情を見ていると、自然と顔がほころぶのだ。
「うわ、クライブ。気持ち悪い。そうやって、マリアンヌと一緒に入っている風呂を思い出しているんだな? この、変態。エッチ」
お前だけには言われたくないわ、と心の中で呟くものの、顔だけはニッコリと笑みを浮かべてごまかす。
むしろマリアンヌというよりは、イリヤを思い出していたのだ。心をわかり合いたいとよく言う彼女だが、どうやったら彼女と心がわかり合えるのかが、目下のところの悩みでもある。
「それで、最近のマリーはどうなんだ?」
毎日、聞いてくる。クライブからしたら、昨日と今日でマリアンヌの大きな変化があったとは思えない。おすわりがしっかりしているし、ずりばいしながら部屋中を動き回っている。成長したなとは思うのだが、毎日、見ているためか昨日と今日の小さな変化には気づきにくいのだ。
だが、昨日はできなかった拍手ができるようになったとか、昨日は食べなかった果物を食べたとか、そういったことであればわかる。
「相変わらず、ずりばいしながら部屋を動いてますね。何か見つけると、口に入れようとするから、目が離せないようです」
「あぁ。私もずっと目を離したくない」
そうやってうっとりするエーヴァルトを見ると、何度も「お前の子ではないだろ!」と声を荒らげたくなるというもの。
「クライブ、君は毎日マリーと一緒に風呂に入ってるのか?」
「ああ、そうですね。イリヤに言われて一緒に風呂に入るようになりましたが、悪くはないですね」
マリアンヌを抱きながら広いバスタブに入ると、彼女は喜んで手足をバタバタとさせる。頭や身体を洗っても、泣くようなことはない。ほかほかとマリアンヌがあたたまったところでイリヤを呼ぶと、彼女は顔を背けながらマリアンヌを預かってバスタオルでくるむ。そのときのイリヤの表情を見ていると、自然と顔がほころぶのだ。
「うわ、クライブ。気持ち悪い。そうやって、マリアンヌと一緒に入っている風呂を思い出しているんだな? この、変態。エッチ」
お前だけには言われたくないわ、と心の中で呟くものの、顔だけはニッコリと笑みを浮かべてごまかす。
むしろマリアンヌというよりは、イリヤを思い出していたのだ。心をわかり合いたいとよく言う彼女だが、どうやったら彼女と心がわかり合えるのかが、目下のところの悩みでもある。