このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「あまりそういうことを言いますと、明日、マリアンヌを連れてこなくていいと、イリヤに言いますが?」
「うわぁ、ごめんなさい。ごめんなさい。変態、エッチだなんてもう言いません」
――こいつ、やっぱり重症だな。
そんな冷たい視線を送りつつ、クライブは金で縁取られた白磁のカップを手に取った。
マリアンヌが召喚されてからというもの、エーヴァルトが酷い。これはそろそろトリシャに告げ口をすべきかと思いながらも、クライブとトリシャが犬猿の仲なのだ。
「それで、クライブとイリヤ嬢の仲はどうなのだ?」
飲んでいた紅茶を噴き出しそうになった。エーヴァルトが真面目な口調で、イリヤとクライブの仲を問いただすとは。いったい何を考えているのか。
「オレとイリヤの仲がどうであれ、あなたには関係がないのでは? マリアンヌにしか興味がないと言っていたと記憶しておりますが?」
「だが、私は思ったのだよ。マリアンヌの両親の仲がよいほうが、マリアンヌにとっても幸せではないのかと。だから、マリアンヌのためにもクライブとイリヤ嬢の仲は良好であってもらいたい」
クライブは黙って紅茶を飲み直した。
「それで、どうなのだ? イリヤ嬢との仲は。初夜のやり直しはできたのか? 卒業できたのか?」
今度はとうとう紅茶を噴き出した。どうして人が飲んでいるところを狙って、話しかけてくるのか。確信犯としか思えない。
侍従が慌ててかけつけて、濡れた箇所をいそいそと拭いてくれる。
「陛下のおっしゃっている意味が、私にはわかりかねます」
「うわ。白々しい。てことは、まだなんだな? マリアンヌにも弟か妹がいたほうがいいのではないか?」
「うわぁ、ごめんなさい。ごめんなさい。変態、エッチだなんてもう言いません」
――こいつ、やっぱり重症だな。
そんな冷たい視線を送りつつ、クライブは金で縁取られた白磁のカップを手に取った。
マリアンヌが召喚されてからというもの、エーヴァルトが酷い。これはそろそろトリシャに告げ口をすべきかと思いながらも、クライブとトリシャが犬猿の仲なのだ。
「それで、クライブとイリヤ嬢の仲はどうなのだ?」
飲んでいた紅茶を噴き出しそうになった。エーヴァルトが真面目な口調で、イリヤとクライブの仲を問いただすとは。いったい何を考えているのか。
「オレとイリヤの仲がどうであれ、あなたには関係がないのでは? マリアンヌにしか興味がないと言っていたと記憶しておりますが?」
「だが、私は思ったのだよ。マリアンヌの両親の仲がよいほうが、マリアンヌにとっても幸せではないのかと。だから、マリアンヌのためにもクライブとイリヤ嬢の仲は良好であってもらいたい」
クライブは黙って紅茶を飲み直した。
「それで、どうなのだ? イリヤ嬢との仲は。初夜のやり直しはできたのか? 卒業できたのか?」
今度はとうとう紅茶を噴き出した。どうして人が飲んでいるところを狙って、話しかけてくるのか。確信犯としか思えない。
侍従が慌ててかけつけて、濡れた箇所をいそいそと拭いてくれる。
「陛下のおっしゃっている意味が、私にはわかりかねます」
「うわ。白々しい。てことは、まだなんだな? マリアンヌにも弟か妹がいたほうがいいのではないか?」