身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「何? 羨ましいの?」



「えっ……?」



ふと思ったことを口にすると、害悪ファンの女子たちが一瞬ひるんだ。



「いや、あなたたちって、私のことが羨ましいんでしょ?」



もう一度同じことをたずねると、彼女たちは黙り込み、互いの顔を見合わせた。



かと思えば、急にぷっと噴き出して、大声で爆笑し始める。



「は? 何言ってんの? そんなわけないじゃん!」



「妄想で勝手なこと言わないでくれる?」



私のことをバカにして笑っているつもりだろうけど、どの子も唇の端が引きつっている。



完全に私に図星を突かれて動揺しているのがバレバレで、もはや取るに足らない相手って感じ。




「いや、そうでしょ。私が一葉さんや彼の仲間と関わりがあるのが羨ましくて、気に食わなくてたまらなかったんでしょ? それで私のマンションに押しかけて、こうやって好き勝手ぶちまけてんじゃないの? 違うの?」



「何それ、勝手に決めつけないでくれる⁉」



「そうよ! あたしたちは、ただ桜坂さんに身の程をわきまえて欲しくて……」



「集団で文句を言ってくるような人たちに、そんなことを言われる筋合いないんだけど。少なくとも、学年集会に発展するほどのトラブルを起こしている人には――……」



「うるさいっ‼」


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