身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
――パンッ



乾いた音の後。



頬にじんじんとした痛みが走るのに、そう時間はかからなかった。



「った……」



叩かれた頬を手のひらでおさえて、平手打ちしてきた女子を見上げると、鋭い眼光でギッと睨まれた。



「何その目? 叩かれたのは桜坂さんの自業自得でしょ?」



「ああ、あんたたちの黒歴史をほじくり返したから?」



「本当ムカつく! もう二度と一葉さんに近付かないで!」



感情に任せるように、彼女が怒りを爆発させたちょうどその時。


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