身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
カジュアルな私服を着た私とは対照的に、一葉さんはフォーマルな黒のストライプスーツに身を包んでいた。



もしかして、私と出かけるからって気合い入れてきたのかな?


……って、流石にそれはないか。



じゃあ何? 誰かのパーティーか結婚式の帰り?



「今回、日和を連れて行こうと思っている場所に行くためだよ」



予想外の返答に、思わず耳を疑った。



「えっ? じゃあそこって、服装規定とかある場所なんですか?」



「まあ一応、ラフな格好じゃ入れない場所だね」



「そういう大事なことは、事前に言ってもらえます⁉」



思わず身を乗り出す私に、「まあね。あえて伝えてなかったから」とあっけらかんと答える一葉さんは、完全に確信犯だ。



「大丈夫。これから行く場所で僕が一式そろえるから」



「そろえるって、どこで……?」



「ここだよ。もう着いたから降りて」



「えっ……、ここって……⁉」



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