身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「は? 別にいいだろ。好物なんだから」



口をとがらせる棗のお皿の上には、大量のフライドポテトが山を築いていた。



「別にいいけど……もったいなくない? せっかくなんだから、もっと高そうなものでも食べたら? ローストビーフとか」



「食えたら食うよ」



「あっそ」



棗とそんなやり取りを繰り広げていると、すぐ近くから「きゃあっ」とかすかに女の人の色めき立つ声が聞こえてきた。



何かあったのかな?



あたりをきょろきょろ見渡してみると、綺麗なお姉さんが何人も、バーカウンターがある方向に視線を寄こしていた。


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