身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「今回は執事としてじゃなくて、百合根大河として来てますんで」



「ってことは、今日は仕事じゃなくてオフってやつ?」



「まあ、そんな感じっす」



「ってか、改めて思うけどすごいね。高校生と執事の二足の草鞋を履くのってけっこう大変じゃない?」



「まー、それは否定はしませんけど、理音さんには昔から世話になってますからねぇ……。あの人には、ある意味恩返ししてるって感じですから」



「恩返し?」



私が思わず聞き返すと、食事をしていた大河は、突然動きをぴたっと止めた。



それから、大事な話でもするかのように、器用に操っていたフォークとナイフをお皿の左右に置いて、まっすぐに私を見つめる。



「はい。俺、理音さんに見つけてもらえなかったら、今頃この世にいたかどうかすら怪しいんで」



えっ……?


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