身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「うわあっ⁉」



突然、すぐ近くから割り込んできた声に、ハッとして顔を向ける。



「理音さん!」



「一葉さんと棗も……、いつからここに⁉」



同時に叫んだ大河と私の前に現れたのは、バーカウンターにいたはずの理音さんと一葉さんと棗の3人。



「んー、少し前からいたよ。僕が話しかけるまで、君たちは話に夢中で全然気付いてなかったみたいだけどね」



なんて、理音さんは笑いながら答えるけれど、ニコニコというよりニヤニヤしている。



「だったら、ここに来た時点で話しかけてくださいよ……」



顔をかーっと赤くする大河に、「まあ、お前ら夢中だったからちょっとからかってやろうと思ってなー」と棗がからかっていた。



「まあ、仲が良いのはいいことだよ」



一葉さんがそう言って、ほんの一瞬チラッと私に視線を寄こした。



何故、真顔でこっちを見る……?



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