身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「あのー……、一葉さん」



帰りの車の中。私は、しれっと右隣に座る一葉さんに話しかけた。



「ちょっと……ていうか、相当距離縮めてません?」



「日和の気のせいじゃない?」



とぼけたな。



全然気のせいでも何でもないんだけど、今の一葉さんの言い方、なんとなくつっけんどんだったな。



あと、妙に機嫌が悪いような気がする。



というか、すねてる?



そう考えると、一葉さんって意外と子供っぽいところがあるんだな。



でも私、この人を不愉快にさせた覚えがないんだけど――、ん?



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