身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
あの時は『闇夜の帝王』ってネーミングのインパクトに、『何それ? 中二病?』って思わずキョトンとしたけれど。



いつの間にか、この街のことと一緒に頭の中からすっぽ抜けてたんだった。



如月が危険視するほどの『闇夜の帝王』という人物のことはわからないけど、その人がいる街は、調べれば調べるほどとても魅力的だった。



街全体に超高層ビルや商業施設が数え切れないぐらい建っていて、交通の便がとてもいい。



それに、人口密度も高いから、まさに身を隠すのには打ってつけって感じがする。



仮にplatinumのメンバーたちが、私を探しにこの街に来ても、そう簡単には見つかりっこなさそうだ。



そう考えたら、闇夜の帝王云々は置いといて、引っ越すならもうここしかない。



「……決めた。この街にしよう!」



最初に見た、夜空にきらめく星という星をかき集めてできたような夜景の写真を眺めながら、私は新たに自分の中で生まれた決意を口にするのだった。


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