身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「いや、あんまり覚えてないや」



とりあえず、ここは笑ってごまかした。



紗奈は、私がとぼけたのに気付くことなく、「そーなの?」と目を丸くする。



「夢を見てた感覚はあるんだけどね……。どんな内容かは忘れちゃって」



「そっかあ。まあでも、夢ってそんなもんだよね。あたしもいい夢見てた気がするけど、内容覚えてないってことよくあるし。……って、話変わるんだけど」



「ん? 何?」



「来週の水曜日の放課後ってヒマ?」



何だろ急に? えらく話が飛んだけど……遊びの誘いかな?



「まあ、そうだけど……」と一応うなずくと、紗奈は「本当に⁉」とぱああっと目を輝かせて、「よかったぁ……」とほっと胸をなで下ろした。



「じゃあ、その日の放課後は絶対に開けといてね!」



「いいよ。どっか行くの?」



「合コン!」



「わかった。合コンね……って、ええっ⁉」


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