身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「なあ、なんかスマホから人の声が聞こえるんだけど」



「彼氏じゃね? ま、念のため外部との連絡絶つために壊しといて」



「はーい」



メンバーのうち一人に拾われたスマホは、渾身の力でアスファルトの上に叩きつけられた。



粉々にひび割れたガラス。



真っ黒になった画面。



もう聞こえない一葉さんの声。



絶望的な瞬間を目の当たりにした私には、どうすることもできなかった。



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