身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「日和、大丈夫?」



大丈夫も何も……一葉さんにお姫様抱っこされているせいで、ヤバい。



まともに顔を見ることが出来ない。



「怖いなら僕にしがみついてもいいんだよ?」



こんな時でも私をからかうのを忘れない一葉さんのせいで、私の心は場違いなほどにときめいて、心臓がドキドキと高鳴ってしまう。



「いや、遠慮しときます……!」



ブンブンと首を横に振って一葉さんに断りを入れると、「そっか。まあ、落ちないように気を付けるんだよ」とにっこりとした笑顔と一緒に返されてしまった。



「は、はい……」



「それじゃあ、みんなで一緒に帰ろうか」



私、一葉さん、理音さん、大河、棗。



5人揃った私たちは屋敷の玄関へ向かって歩き出そうとしたその時――……。


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