身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「そういや日和、柔らかくなったね」



おろしたての服を着て、パッキングした荷物を持って玄関を出た時。



ドアの鍵を閉めた一葉さんがそんなことを言ってきて、私は思わず聞き返した。



「何がですか?」



「表情とか、雰囲気かな。前はあった刺々しさが若干なくなった気がするというか……」



……若干って、気がするって。



まあ、私の性格がきついところも、歯に衣を着せない物言いも。



特に変わった自覚も意識もないけどさ……。



「特に笑った時、ふわっとした優しい笑顔になるんだよ」



「ええっ⁉ そうですか⁉」



からあまり言われ慣れてない『優しい』という言葉が一葉さんの口から飛び出して、全身がどことなくむずがゆくなった。



でも、悪い気はしないかな。むしろ、ちょっと当たっているとすら思う。



「ん~、一葉さんと付き合ってるから。っていうのもあるんでしょうけど……もう、心配事がなくなったからじゃないですかね」



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