身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
紗奈たち曰く、闇夜の帝王とやらは一葉さんのことで、この街を変えた暴走族の総長だったという。



ほんの数年前。



ここは『暴走族の街』と呼ばれるほど、無数のチームが乱立していた街だった。



連日連夜、チーム同士の喧嘩や抗争が繰り広げられ、一般人への暴力や恐喝(きょうかつ)窃盗(せっとう)も横行していたという。



まさに、『無法地帯』という言葉がぴったりなほど治安は最悪レベル。



誰もがこの街を見限ろうとしかけたその時。突如、とあるチームの総長が、一葉さんをスカウトした。



名門の黒曜高校に通う優等生が暴走族入り。



どう考えても違和感ありまくりだけど、一葉さんは持ち前のカリスマ性とリーダーシップを発揮して、あっという間に総長に就任し、この街の暴走族を束ね上げた。



おかげでこの街の治安はだいぶ改善して、今は放課後に寄り道することができるほどのレベルになったという。



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