身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「おいコラ、待ちやがれ!」



「ふざけたこと言って逃げんじゃねーよ!」



すぐに背後からさっきの不良たちの怒鳴り声とバタバタという足音が私を追って来る。



夜になってより音が響きやすくなっているせいか、どんどん距離を詰めてられるのが嫌でもわかった。



こんな時に一葉さんが助けに来てくれたらいいのに。



なんて思うけど、彼が偶然ここを通りかかって私を助けてくれる、なんて都合のいい展開が起きることはなかったし、わかっていた。



思えば、銀楽街にいた時は、こんなふうに追われることはしょっちゅうだった。



でも、platinumのメンバーたちが私の元にすぐに駆け付けてくれたのは最初だけ。



日を追うごとに助けに来てくれるのもどんどん遅くなっていって、最終的には私一人でなんとか逃げ切るしかなかった。



……まあ、それだけ私がplatinumの連中に、『自力で動けるダミー人形』ぐらいにしか思われてなかったんだろうけど。


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