身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「具合はどうだ? 大丈夫か?」



と、ベッド脇に置いてあった椅子に腰を下ろす彼に、いきなり真顔でたずねられた。



「は、はい。とりあえず……」



「そっか。ならよかった。意識なかった割には、元気そうにしゃべってるし」



「えっ? 意識なかったって……?」



室外機の陰に隠れてから今までの間の記憶がまるっとない私に、眼鏡男子は「覚えてなくて当然だろうけど」と前置きすると、




「お前、この部屋の外で気絶してたんだよ」



「ええっ⁉ 気絶……?」



「ああ。室外機の横にうずくまっててさー。埃っぽい所にいつまでもいさせるわけにはいかねーからさ。俺が気を利かせてこの部屋に連れてって、ベッドで休ませてやったってわけ」



助けてくれたことには感謝するけど、いちいち偉そうだな……。



恩人とはいえ、ちょっとイラッとする。


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