身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
今度はかすれ気味の低い声がして、無造作な黒髪の男の子が部屋の中に入って来た。



きりっとした精悍(せいかん)な顔立ちをしたワイルド系のイケメンで、彼も理音さんと同じ白帝学園の制服を着こなしている。



「も~っ! 聞いてよ、大河(たいが)‼ 棗が女の子とベッドでっ……!」



「はあ? 何言ってんすか、理音さん。女の子がこんな所にいるわけ……」



泣きつく理音さんに対して、黒髪のワイルド系イケメンこと大河は冷静だった。



でも、返事の最中に私に気付いて、「えっ……、マジ?」と顔を歪ませるなり、眼鏡男子こと棗に鋭い視線を向けた。



「棗、この子どうした?」



「拾った」



「はあっ?」



いや、拾ったって……捨て猫じゃあるまいし!


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