身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「カズ……、ハ?」



思わず耳を疑って聞き返す私に、「そうだけど、どうかした?」と美青年こと一葉さんは、不思議そうに首をかしげる。



脳裏に、合コンに参加していた女子メンバーたちとの、トイレでの一葉さんトークがよみがえる。



もしかして、私の前にいる一葉さんは、『闇夜の帝王』とカズハさんと同一人物なのかな……?



いや、あの人はこの街を統べる帝王みたいな人なんだ。



こんなに偶然、私の目の前に現れるなんて到底思えない。



でも、名前は合ってるし、髪色も紗奈が言っていた夜の闇みたいな色に見えるんだよな……。



「あのさ、日和」



真剣に考えごとをしていたら、急に一葉さんに呼ばれて、私はハッと我に返った。

< 51 / 255 >

この作品をシェア

pagetop