身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
一葉さんは椅子から立ち上がると、背もたれにかけていた上着を羽織った。



見覚えのある、黒い詰襟。



それはまさに、昨日の合コンで黒曜男子が着ていたのとまったく同じもの。



「あの、一葉さんって、黒曜に通ってるんですか……?」



私は、身支度をする彼の背中を、穴が開くほどじっと見つめながらたずねた。



「うん。一応そこの3年生だよ」



「そうなんですね……」



『カズハ』という名前に、『黒曜高校』の『3年生』。



そんでもって他校生にも有名で、女子からの人気も高い。



これだけの要素が揃っているということは、もしかして――……。


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