身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
校門前はすでに、大勢の生徒たちであふれかえっていた。



そのほとんどが女子生徒で、まるでアイドルの車の前で出待ちしているファンみたいにキャーキャーと黄色い声を上げで騒いでる。



「うわっ、すごい人だかり……」




「当たり前じゃん! あの一葉さんの車が来てるんだよ! みんな見に行くに決まってんじゃん!」



「ふーん、そうなんだ……」



「もー、日和ってば冷めてるんだから。……って、嘘っ⁉ キャーッ‼」


いきなり紗奈が甲高い叫び声を上げて、耳の奥がキーンとした。



「ちょっ……、紗奈! いきなりどうしたの⁉」



「見て、日和! 瀬良《せら》棗さんと百合根(ゆりね)大河さんがいる!」



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