身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
目をハートにした紗奈の熱い視線の先をたどると、黒曜の黒い詰襟を着た棗と、白帝の白いブレザーを着た大河がいた。



大勢の女子から注目を集めてながらも、2人は何かを探しているかのように、あたりをきょろきょろ見渡している。



「もーっ、ほんっとかっこいい! あの2人が同じクラスにいたらいいのになぁ……」



「同じクラス?」



「棗さんと大河さんは、あたしたちと同じ高2なの!」



「へぇ……、そうなんだ」



ということは、棗と大河が私と同い年で、一葉さんと理音さんが1つ年上っていうわけか。



なんて頭の中で考えていると、また紗奈が「キャーッ!」と叫び声を上げた。



今度はバシバシと私の肩を叩いてくる。



「痛っ! いきなり何⁉ どうしたの?」



「ヤバーい! 日和、棗さんと大河さんが、こっちに向かって来てる‼」



ええっ⁉


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