身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。

「えーっと、そこのボブの子は日和の友達？」



棗に声をかけられた紗奈は「はっ、はい！」と返事をした。



たぶん、紗奈の推しは棗なんだろうな。



口元を両手でおおって、「ヤバい……、声かけられちゃった……」と幸せを噛みしめるように、小声で独り言を呟いている。



しかも、「日和のこと、連れてっていい？」なんて棗に聞かれただけで、返事すら出来ずに、顔を耳まで真っ赤にしてコクコクとうなずくばかり。



……ん？　待って。私を連れて行くって何？