身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「今すぐに持ってきてくれた物をこっちに寄越して、早いとこ帰ってもらっていい? これ以上騒ぎを大きくするのも面倒でしょ」



「まあ、たしかにそうだな」



あれ? こいつ、意外と話せばわかってくれるんだ。



良かった。なんて、ほっとした私がバカだった。



「じゃあ、大河、頼むわ」



「はーい」



「うわっ⁉」



突然私の体がふわっと宙に浮いた。



いや、本当に浮いてるんじゃない。大河に抱きかかえられてるんだ。



――いわゆる、『お姫様抱っこ』をされている現状に、一気にぶわっと顔が熱を帯びる。


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