身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「ちょっ、大河! 何すんの⁉」



「あー、すみません。日和さん。俺ら、一葉さんに『絶対に連れて来い』って命令されてるんで」



「いや、だからってお姫様抱っこは……!」



「こうでもしないと、日和さんは走って逃げるでしょ?」



「当たり前じゃん! って、ちょっと……! やだ! おろせっ! おろしてよ‼」



大河の腕の中でジタバタと暴れるけど、もはやただの悪あがき。



「はいはい。気持ちはわかりますけど、危ないので暴れないでくださいねー」



まるで騒ぐ子供をかついで撤収していく親のように、大河はまったく私のお願いを聞き入れてくれない。



結局、鍛え上げられた大河の腕にしっかりと抱えられた私は、校門の外に止められた車に連れて行かれてしまった。


< 75 / 255 >

この作品をシェア

pagetop