身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。

「どうぞ、召し上がってください」



「あ、ありがとう……」



細長いグラスに注がれた紅茶は、琥珀色に透き通っていて、太陽の光を通しているのもあって、キラキラと輝いて見えた。



飲んでみると、とても上品な味が口の中いっぱいに広がった。



これからの季節にぴったりなほど冷たい上に、すっきりとしていて飲みやすい。



「おいしい……！　大河って、紅茶淹れるの上手いんだね」



「いやー、それほどでもないっすよ」



なんて謙遜しながらも、照れくさそうに頬をゆるませる大河に、理音さんが横から「それほどもあるでしょ！」と口をはさんでくる。



「だって大河は僕の執事で、毎日紅茶を淹れてるからね」



「執事？　執事って、お金持ちのお坊ちゃんやお嬢様についている、あの……？」



「ええ。俺、理音さん家で住み込みで働いてる執事なんです。基本的には、理音さんの身の周りのお世話を担(にな)ってます」



おどろいた。



昨日出会ったばかりとはいえ、知り合いが本物の執事だったなんて……。



というか、現代に執事という職業が本当にあることが信じらんないんだけど……って、呆然としている場合じゃない‼