身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。

第6夜

「えっ……?」



一瞬、目の前が真っ白になった気がした。



ちょうど赤信号に差しかかったのか、私たちが乗っている車がぴたりと停まる。



まるで、現在進行形でストップした私の思考回路みたいに。



「なんで……どうして棗が、そのことを知ってるの?」



この街に引っ越してから、私は誰にも自分の過去の話を一度もしていない。



ノアの身代わりを務めていたことはもちろん。



platinumにいたことや、銀楽街に住んでいたことすら、誰かに打ち明けたことは一度もなかったんだ。



一体どこでバレたのか。



いくら考えたってわからないけど、『何かの悪い冗談だよね?』って思いたいし、なんなら実際にそうであって欲しい。



でも、現実は私が思う以上に残酷だ。




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