身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「かつて、僕と如月はこの街でしょっちゅうシマ争いをしてたんだ。だからこそ、よく知っているっていうのもあるんだけど……あいつは昔から、日和にしたことと似たような手段を取っていたんだよ」



「似たような、手段……?」



「自分と仲間の手は汚さず、目を付けた人間にいい顔をして、引きずり込んでは利用して。最終的に不必要になったら、ポイッて捨てて……」



そう言うなり、ゴミをポイッと投げ捨てるようなジェスチャーをする一葉さん。



何気ない動作だけど、これに近しいことを人間相手に如月がやっていると思ったら。



私が今も銀楽街でノアの身代わりを続けていたら、一体どうなっていたことか……。と考えてぞっとする。



「本当、あの街から逃げて正解だったわ……」



ほっと胸をなで下ろすのと同時に、思ったことが口からポロッとこぼれたその時。



「え? 日和、何か言った?」



「いや、一葉さんの話を聞いたら、如月たちに黙って引っ越して、本当によかったなって……」


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